コラム
- M&A全般経営者の悩み連載
【連載】売却できる会社に育てる方法⑫ 業務フローの構築
これまでの連載で、企業価値を高める方法として、「事業の収益性の向上」「投資効率の最適化」「財務状況の見直し」「無形資産の把握と活用」「仕組み化」「経営理念、パーパス、ビジョン、ミッション等の言語化」「人員の再配置と最適化」について解説してきました。本稿では、業務フローの構築について解説していきます。
◆これまでの連載記事
【連載】売却できる会社に育てる方法⑪「人員の再配置と最適化」の注意点と手順
【連載】売却できる会社に育てる方法⑩「人員の再配置と最適化」の目的とメリット
【連載】売却できる会社に育てる方法⑨経営理念、パーパス、ビジョン、ミッション等の言語化
【連載】売却できる会社に育てる方法⑧仕組み化の手順と方法
【連載】売却できる会社に育てる方法⑦仕組み化のメリット
【連載】売却できる会社に育てる方法⑥無形資産の把握と活用
【連載】売却できる会社に育てる方法⑤財務状況の見直し
【連載】売却できる会社に育てる方法④投資効率の最適化
【連載】売却できる会社に育てる方法③事業の収益性向上のためのブランディング
【連載】売却できる会社に育てる方法②事業の収益性向上のための社内連携強化
【連載】売却できる会社に育てる方法①事業の収益性向上のための施策
【業務フローとは】
業務フローの構築は、仕組み化の一環でもあります。仕組み化については本連載の⑦⑧でも解説していますが、今回は「業務フローを構築することで、業務改善にまでつなげていくこと」を念頭に解説します。
業務フローは、業務の流れを視覚的に表現した流れ図のことです。業務フローは、会議などで業務改善について議論する際や、社員に新しい業務を教える際などに使用されます。業務の現状の流れを可視化しておくと、業務改善のブレストを行うときも社員教育を行うときもスムーズです。
業務フローに使われる規格の種類には、
・日本工業規格(JIS)
・BPMN(業務プロセスモデル図)
・DFD(データフロー図)
・スイムレーン
・産能大式
などがあります。この規格を使わないといけないというものはありませんので、自社に合う使いやすい規格で業務フローを作成しましょう。
【業務フローを構築するメリット】
業務フローを構築するメリットは、主に
・業務の可視化
・業務の効率化
・業務の標準化
の3つです。
◆業務の可視化
業務フローを作成することで業務を可視化し、整理することができます。どんな業務でも、決まった手順や流れ、ある程度のパターンがあります。その流れやパターンを客観的な視点で図式化したものが業務フローです。業務フローで業務の流れやパターンを視覚的に理解しやすくしておくと、社員教育の際も説明がシンプルでわかりやすくなります。
◆業務の効率化
業務効率を継続的に向上させていくためには、プロセスの定期的な見直しや無駄の排除が欠かせません。業務の中には、本来はなくても良いプロセスなのに習慣的に残ってしまっていることがあります。また、ワークフローシステムなどのDXを進めることで効率化できることもあります。業務フローを作成しておくと、業務の見直しや無駄の排除、DXを検討する際に役立ちます。
◆業務の標準化
業務フローを作成する過程でも、業務が可視化され無駄なプロセスが整理されていきます。属人的だった業務が統一・標準化されれば、それは会社の無形資産となり、会社の価値向上にもつながります。作成した業務フローを基に業務マニュアルを作成すれば、業務の標準化も進んでいくでしょう。
【業務フロー構築後の業務改善】
業務フローを作成することよりも、業務フローを構築した後に業務改善につなげていくことが重要です。定期的に、業務プロセスの評価と検証を行う必要があります。
・作業時間や工数がどれだけ変わったのか、ビフォーアフターを数値化する。
・逆に作業時間が増えていたり、別の業務が非効率になっていたりする場合は、再度改善施策の検討をする。
・最新のITツールなど、導入できるものはないかリサーチする。
など、見直しを行っていきましょう。一度見直した業務プロセスであっても、環境変化などによって適切ではなくなる場合もあります。
次回は、「業務マニュアルの整備」について解説していきます。
中島 宏明
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。
プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、上場企業や会計事務所など複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。