コラム

これまでの連載で、企業価値を高める方法として、「事業の収益性の向上」「投資効率の最適化」「財務状況の見直し」「無形資産の把握と活用」「仕組み化」「経営理念、パーパス、ビジョン、ミッション等の言語化」について解説してきました。本稿では、人員の再配置と最適化について解説していきます

◆これまでの連載記事
【連載】売却できる会社に育てる方法⑨経営理念、パーパス、ビジョン、ミッション等の言語化
【連載】売却できる会社に育てる方法⑧仕組み化の手順と方法
【連載】売却できる会社に育てる方法⑦仕組み化のメリット
【連載】売却できる会社に育てる方法⑥無形資産の把握と活用
【連載】売却できる会社に育てる方法⑤財務状況の見直し
【連載】売却できる会社に育てる方法④投資効率の最適化
【連載】売却できる会社に育てる方法③事業の収益性向上のためのブランディング
【連載】売却できる会社に育てる方法②事業の収益性向上のための社内連携強化
【連載】売却できる会社に育てる方法①事業の収益性向上のための施策

 


【人員配置とは】

日本は労働人口減少社会に突入し、多くの会社が慢性的な人手不足という経営課題に直面しています。ヒトモノカネの中でも重要な経営資源である「人」をどのように活用するかは、会社が成長を続けていくための生命線であり、優秀な人を採用できることや活用できることは、M&Aという出口戦略を取る上でも非常に重要です

人員の配置は、

・社員一人ひとりのパフォーマンス
・部門やチームの成績
・会社やグループ全体の業績

に影響を及ぼす、経営戦略の一部です。社員のキャリアプランや志向を考慮することで、社員満足度や人材定着率の向上にもつながります。

「人員配置」は、経営計画を実現・達成するために、

・社員をどのポジションや部門、チームに配置するか
・だれにどのような業務を任せるか

を決める人事マネジメントです。人材が持つ能力やスキル、経験、性格、相性、人数や構成、配置状況などを総合的に判断します。採用や人事異動、昇進・昇格などのタイミングで実施するのが一般的でしょう。

 


【人員配置を最適化させる目的】

この人員配置を最適化させる目的には、

・会社全体の経営計画、事業目標を達成すること
・人材の流出を防ぎ、成長や活躍を促すこと

などが挙げられます。

人員配置は、ときに会社の社運を左右することもある重要な人材マネジメントです。適材適所で、社員一人ひとりの能力やスキル、特性、志向に適した業務を担当してもらうことで、パフォーマンスが最大限発揮され、結果的に経営計画・事業目標の達成につながります。

また、今いる環境で能力を十分に発揮できない社員のポテンシャルの発見や、将来の経営人材候補者の発掘・育成の機会にもつながるでしょう。人員の再配置による環境の変化で、新たなスキルや知見を得て、成長や活躍を促進することも人員配置を最適化させる目的です。

 


【人員配置を最適化させるメリット】

では、人員配置を最適化させるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

・社員のモチベーション向上
・生産性の向上
・人件費の最適化

主なメリットには、上記の3つが考えられます。

人員の再配置を行えば、知識面や意識面、行動面などで変化が生じ、社員のパフォーマンスに影響を与えることになります。もちろん、必ずしも良い影響を与えるとは限りませんが、適切な人員配置を行えば良い方の変化をもたらすことになるでしょう。

社員のスキルや経験と配置される部署や役職、担当がマッチすると、社員が持つポテンシャルが発揮され、モチベーションやパフォーマンスが向上し、結果的には生産性も向上することになります。適性に合ったポジションに就いている社員が多ければ、会社全体の生産性も向上するでしょう

人員配置の最適化によって効率的に業務に取り組めるようになれば、1つの業務にあてる人件費を見直すこともできます。部署や部門、業務毎に適切な人員、適切な人数を把握し、配置することで、今までかかっていた人件費を抑えることができるでしょう。非効率からくる過剰な人件費を削減することが可能です。

また、社員のモチベーションやパフォーマンスが向上すれば、おのずと社員満足度もアップし、人材定着率も上がることになります。人員配置の最適化は人件費の最適化だけでなく、採用費の削減と最適化にもつながるでしょう

 

次回は、「人員の再配置と最適化の注意点と手順」について解説していきます。


中島 宏明
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。
プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、上場企業や会計事務所など複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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