コラム

M&A案件に関わっていると、買い手(譲受)企業の方からよくいただく質問がいくつかあります。経営戦略の実行や事業計画の実現、経営の多角化や業種転換のための選択肢としてM&Aが挙がるケースもあれば、最近では会社員の方の副業・複業の選択肢としてM&Aが挙がるケースもあります。本稿では、よくいただく質問の中から5つを選んで回答します

 


Q. 会社の売却・譲渡を検討している経営者の年齢は?

 

A.「後継者の不在」を理由に会社の売却・譲渡を検討するケースが多く、そのため経営者の年齢は50~70代が多くなります。

しかし最近は、「ベンチャー・スタートアップ企業がIPOではなく大手・中堅企業への出口戦略を描く」ケースも増えており、その場合は30~40代の経営者が多くなります。

 

Q. 売り手(譲渡)企業オーナーにどんなことを質問すれば良いか?

 

A.会社や事業を買収・譲受するにあたり、最適な相手かどうかを見極める必要があります。

業界によって確認すべき事項は異なりますが、一般的には

「自社の強み」
「成長の可能性」
「事業の課題」
「課題解決のためにこれまで取り組んだことと、その結果」
「買い手(譲渡)企業に求めること」
「譲れない条件」

などを事前に確認しておくと良いでしょう。

 

Q. 買収金額は交渉できる?

 

A.もちろん可能です。

双方が合意しなければM&Aは成立しませんので、お互いが納得できる条件になるまで交渉することができます。買い手(譲受)企業としては「できるだけ安く買いたい」というのが本音ですが、ゼロから会社を立ち上げ、育ててきたオーナー経営者への配慮は必要でしょう。揚げ足を取るような値下げ交渉はトラブルにつながりますので、M&Aアドバイザー・M&A仲介会社とうまく連携した方がスムーズです。

 

Q. M&A後、引き継ぎはうまくいくのか?

 

A.M&A後のPMI(統合作業)は、とても重要です。

異なる文化・社風を持つ会社同士の合流は、「会社の結婚」とも呼ばれます。そのため、トラブルの種は必ずあると思っていた方が良いでしょう。トラブルの種が小さいうちに解消、あるいはトラブルを回避できるよう、M&A後のサポートもしてくれるM&Aアドバイザー・M&A仲介会社がM&Aの相談相手には望ましいと言えます

 

Q. 複数人で飲食店等のオーナーになることは可能か?

 

これは中小企業オーナーだけでなく、会社員の方からもいただく質問です。「経営者仲間や友人と一緒に、副業で飲食店を共同経営したい」というニーズです。

A.複数人でオーナーになることは可能ですが、共同経営の場合、後々トラブルに発展するケースも多いので注意が必要でしょう

必要であれば新たに法人を設立し、株主構成を決めた上でM&Aを進めていく方が良いです。会社ごと買収・譲受する場合は新たな会社設立は不要ですが、持株比率は考えて決めておきましょう。

 


中島 宏明
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。
プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。
2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、上場企業や会計事務所など複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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